情報コミュニケーション産業としての印刷業

従来、印刷業は『設備産業』『ハード産業』と呼ばれてきました。顧客から預かった原稿を、決められた設備でいかに早く、大量に印刷物にするかが最大の使命でした。もちろん現在でも、これが基本業務であることには変わりません。しかし、目まぐるしく変化する時代においては、その流れに対応する新しい力を身に付けていくことも必要になってきました。それは顧客の要望や時代のニーズを総合的にとらえ、印刷物のアイデアを提案できる企画力と営業力です。さらに、付加価値を与える創造力や、顧客のニーズを紙面に確実に定着させる技術力も求められます。つまり、『トータル・ソリューションの提供』というスタンスでのビジネスモデルの構築が必要になってきているのです。最近では印刷・加工・効果分析にいたるまでパッケージで受注する『ワンストップ・サービス』を展開するようなケースもあります。

そうしたスタンスを打ち出すことによって『情報ソフト産業』としての機能がさらに増大していくことになるのです。今後はハードとソフトの両面をより一層充実させ、周辺業務も含めたあらゆるニーズへの対応が求められることになってきます。このように、印刷業はこれまでの枠を越えた新しい『印刷・情報産業』としての姿が期待されています。情報媒体が多様化し、様々なメディアがクロスする中で、『情報の交差点』としての利点を活かし、マーケティング戦略に基づいた、特徴あるビジネスの展開が必要になってきます。たとえば、校了したDTPデータの再活用などは今後の事業多角化においては大きな位置づけを持つものになると想定されます。データをマーケティングという側面から分析することも可能であり、提供するサービスの中に経営コンサルティングの要素を取り入れることもあり得ます。今までは受注産業という特性から、マーケティングに目を向けるよりも、発注先の顧客を大切にしてきたと言えます。どちらかと言えば受け身であったことが多いと言えます。しかし顧客との信頼関係のみでは、今の激動の情報化社会や厳しい市場環境を乗りきることは容易ではなくなってきているのが現実です。

受注産業が中心である印刷業は、在庫を持たないという点が強みともなります。そういった意味では、ローリスクの中で、従来通り、顧客との信頼関係を大事にする一方で、マーケティングも重視しながら、活力ある企業に転換していく時代に突入したということができます。

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